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SUUMOジャーナル

イラスト:つぼいひろき
先生! 前回のチラシの話にも通じるのですが、「頭金ゼロ」なんていうのをよく見る気がします。 でも「本当?大丈夫?」って思ってしまいます。頭金ゼロって全額ローンで何千万もする家を買うってことですよね。頭金がゼロでも住宅って買えるものなのでしょうか? リスクはないんですか?
【連載】お金に弱い新米住宅編集きのっぴーの素朴なギモンを、住タコ先生が解決していく連載です。

【画像1】きのっぴー(左):新米の住宅編集者。とにかくお金のことに弱く、編集部内でローンや金利の話で盛り上がっているときは、木のごとく気配を消してその場をやりすごしている/住タコ先生(右):不動産業界に携わってウン十年。なんでも知っているが、特にお金について詳しい。いつも穏やかな物腰でさまざまなことを教えてくれる。怒りスイッチが入るとスミをぶちまける習性がある(イラスト:つぼいひろき)

ケースバイケース。売ることを考えるとリスクは大きい

きのっぴー:そもそも、頭金なしで家って買えるんですか?

住タコ:ケースバイケース。とりあえずローンを返せればOKという面もある。物件価格の全額をローンで借りても、それが返せる範囲であればすぐに困ることはないのじゃから。

きのっぴー:全額ローンで返済する場合、住宅ローン審査は通るものなのでしょうか。

住タコ:返済能力があると銀行が判断すれば通るぞい。頭金がゼロだからだめってことはない。実際に頭金なしで買っている人も多くいるのじゃ。

“頭金ゼロ”といっても家を買うときの税金や手数料などの諸費用は、普通は現金で払わなければならん。じゃが、その分まで貸してくれるケースもあるぞ! つまり手持ち資金が完全にゼロでも買えることがあるのじゃ。

きのっぴー:ひょえー! すごい! でも、もちろんリスクはありますよね?

住タコ:当然ある。それは売るときじゃ。まず物件価格は年数が経つにつれて値下がりするのが普 通じゃ。頭金ゼロで買うと、数年後に売るときにローン残高よりも売れる価格が下回る可能性がある。ローン返済の当初は利息を多く支払うことになるので、元 金の残高はなかなか減らないからじゃ。これを「担保割れ」などと言うのじゃ。

売るときを考えると、この担保割れのリスクがでかい。売ってもローンを返せないとなると、手持ち資金で残りのローンを返済するか、そもそも売るのを諦めるしかない場合もあるのじゃ。

きのっぴー:でも家は一生ものの気持ちで買うじゃないですか。売ることなんて考えなくてよくないですか?

住タコ:ブシャアアアアアアアアアア!!!(スミをかける音)人生はなにがあるか分からん!!家を買うときは住み続けるつもりだったとしても、実際にずっと住めるかどうかは分からんものじゃ。だから将来、その家に住まなくなることも想定しておくのに越したことはないぞ!!

きのっぴー:ば、ばい…

頭金がある方が、最終的な支払額が少なくなる

きのっぴー:売るときにリスクがあることは分かりましたが、逆に頭金を貯めるメリットってなんですか?

住タコ:むむ、鋭い質問じゃ。まず当然のことじゃが、頭金が多ければローンの借入額が少なくて済む。それだけ支払う利息が減るから、返済負担が軽くなるのじゃ。

それと銀行も商売じゃから、リスクの低い人の方が金利も低くしてもらえる。貯金がなくて頭金が足りない人は、そもそも貯金するのが苦手な人と見なさ れることが多い。頭金を貯められない人は返済に支障が出るリスクが高いと判断され、頭金が多い人よりも金利が高くなるケースがあるのじゃよ。

きのっぴー:なるほど。なんで頭金を貯めるのかスッキリしました! 頭金の有無は金利につながるんですね。
頭金を用意している方が、返済額が少ない=ローンを返せなくなるリスクが低いから、金利も低くなる。ということですね。

住タコ:というわけで、頭に飾る金のアクセサリーがほしいのー。髪はないけど。

きのっぴー:今日も勉強になりました! 先生、ありがとうございました!