2014年6月3日10時00配信

戸田建設は、特殊混和剤をコンクリートの製造時に添加するだけで、吹き付けコンクリートのリバウンド(はね返り)率を低減できる工法を開発した。同社が施工している北海道の道路トンネル工事の現場で試験を実施し、効果を確認した。

コンクリート製造時に使用する従来の混和剤を増粘剤含有型高性能減水剤に変更し、粘性を上げる。他の配合は変更する必要がない。製造時に添加するので新 たな設備が要らず、特殊な施工機械を用いずに吹き付けられるのもメリットだ。国土交通省の土木工事標準積算基準書に準拠した従来の配合と比較して、リバウ ンド率を20%以上低減できる。

材料単価は従来の混和剤とほぼ同じで、リバウンド率を減らした分だけコストを削減できる。材齢28日で圧縮強度試験をした結果、従来の配合と同等以上の強度が得られると分かった。

コンクリートの吹き付け作業では通常、はね返りによって約30%が無駄になっていた。施工区間が長いほどコストが上がるので、リバウンド率の抑制が課題 だ。リバウンド率を低減するには、フライアッシュや高炉スラグといった混和剤、セメントなどの粉体を増量してコンクリートの粘性を上げるのが一般的な対策 となっている。増粘剤を特殊機械で添加する方法もある。ただし、追加設備を要したり、材料費や手間が増加したりする問題があった。

戸田建設は他の現場に適用し、粉じん発生量の低減やコンクリートの長期強度の増加といった副次的な効果についても検証を進めていく。

ケンプラッツからの引用