スーモジャーナルより引用

住宅金融支援機構が発表した「民間住宅ローン利用者の実態調査(2014年度第1回)※」によると、「今後1年間の住宅ローンの金利見通し」を聞い たところ、住宅ローン利用者では「上昇する」が、住宅ローン利用予定者では「ほとんど変わらない」がそれぞれ最多になった。住宅ローンを実際に借りた人と 借りようと思っている人で結果に違いが出たという点について、少し詳しく見ていこう。

※【民間住宅ローン利用者編】については、2014年3月~2014年6月までに住宅ローンを借りた960件(調査時期2014年3月~6月)、 【民間住宅ローン利用予定者編】は、今後5年以内に住宅取得に伴い住宅ローンを利用する予定の1024件(調査時期2014年6月)が対象

利用者は「ほとんど変わらない」、利用予定者は「現状よりも上昇する」が最多予測

調査結果を詳しく見ていこう。質問内容は同じ「今後1年間の住宅ローンの金利見通し」についてだ。

まず、2014年3月~6月に住宅ローンを借りた利用者(図1)では、「現状よりも上昇する」37.3%、「ほとんど変わらない」50.8%、「現状よりも低下する」4.5%、「見当がつかない」7.4%に分かれ、変わらない派が過半数に達した。

一方、2014年6月の調査で利用予定者(図2)は、「現状よりも上昇する」41.7%、「ほとんど変わらない」38.0%、「現状よりも低下す る」4.9%、「見当がつかない」15.4%に分かれ、僅差ながら上昇派が最多を占めた。いずれの場合にも共通している点は、「ほとんど変わらない」が前 回調査より増えている点。

【図1】今後1年間の住宅ローンの金利見通し/出典:「2014年度 民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第1回)」住宅金融支援機構

【図2】今後1年間の住宅ローンの金利見通し/出典:「2014年度 民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用予定者編】(第1回)」住宅金融支援機構

では、調査時期の住宅ローンの金利の動向を振り返ってみよう。
2014年3月は市場の長期金利の低下を受けて、返済期間中ずっと金利が固定される「全期間固定型」の住宅ローンで金利が下がったほか、返済当初の一定期間金利が固定される「固定期間選択型」の一部で金利を下げた金融機関が多く見られた。
消費税が8%になった4月から6月は、住宅ローンの金利はほぼ横ばいで、金利が半年ごとに見直される「変動型」もしばらく大きな動きは見られない状況だった。

史上最低水準の金利が続いていることに加え、一部の金利タイプでさらなる金利低下があり、その後横ばいだったことから、今後も横ばい状況が続くと予 想した人が多かったのだろう。一方、利用予定者で上昇する派が多い理由は定かではないが、実際に借りる段階の人ほど月ごとの金利動向を詳しくチェックして いるわけではないので、いずれ金利は上昇するだろうと見立てたのではないだろうか。

利用する金利のタイプに違いも

今後の金利をどう予測するかによって、選択する住宅ローンのタイプも変わってくる。
今回の調査結果では、
・利用者が実際に利用した住宅ローンの金利タイプ:変動型39.3%(前回37.1%)、全期間固定型29.4%(31.7%)、固定期間選択型31.4%(31.2%)
・利用予定者が希望する金利タイプ:変動型24.8%(23.9%)、全期間固定型32.3%(37.9%)、固定期間選択型42.9%(38.2%)
だった。

金利が変わらないと予測するなら、現状でより低金利な変動型を選ぶのが有利だという考えが働くだろう。一方で上昇すると予測するなら、今の低金利を長期間固定したいという考えが働いて、全期間固定型や固定期間選択型の10年固定タイプなどを選ぶだろう。

しかし、実際に利用者が金利を選ぶ際には、不動産会社や金融機関からの情報も参考に、借入額と適用される金利で具体的に試算して、返済が可能かどうかなどを判断する。当初の思惑とは異なる金利タイプを選択することになる場合もあるだろう。
調査結果で利用者が比較検討した金利タイプを見ると、変動型を選んだ人が比較検討した金利タイプでは、全期間固定型や10年の固定期間選択型が増加する傾向が見られるなど、異なるタイプとの並行検討も広がっている。

住宅ローンは何を見て選ぶ?

では、今後の住宅ローンの金利についてはどう見たらよいのだろう。
まず変動型は、日本銀行が「金融緩和」を継続していることなどから、当面ほぼ横ばいと見られている。一方、長期間金利を固定する全期間固定型などに影響す る市場の長期金利については、8月までさらに金利が下がったが、景気回復傾向が見られるアメリカの長期金利の動向や円安の進捗、日本の国債の需要などに よって変わるため、不透明な状況にある。

金利の動向は長期的な予測が難しいため、住宅ローンの金利の選択は、万一金利が上がって返済額が増加した場合でも、返済に問題がないかどうかといった、返済期間中の家計のリスク許容度を重視して選ぶのがよいということになるだろう。